天草下島の新和町には、天草諸島でただ一軒の焼酎蔵があります。1899年創業の「天草酒造」。明治期に対岸の長島(鹿児島県)から原料となるサツマイモを船で運び入れ、芋焼酎を醸造したのがこの蔵のはじまり。昭和に入ってすっきりとした米焼酎が好まれるようになり、一時は芋焼酎の造りをやめていたといいますが、4代目の平下豊さんは父から蔵を受け継ぐことになったとき、「天草酒造ならではの焼酎で世界を目指す!」と宣言。創業当時の芋焼酎「池の露」の復活に踏み切りました。
池の露復活のために建てた仕込み蔵には、先代が大切に保管していた創業当時の和甕が埋め込まれています。米を栽培し、手麹をつくることから始める昔ながらの芋焼酎造り。多くの手仕事を重ねてようやく生まれた「池の露」は、ふっくらとした甘みと深いコクを感じる芋焼酎になりました。湯島の島民と寄り添いながらつくる「池の露 湯島」は毎年、発売と同時に完売するほどの人気ぶりです。
さらに、従来の純米焼酎に磨きをかけることも忘れていません。仕込みから18年寝かせた原酒をベースにした「長期熟成古酒 天草」は、長期貯蔵ならではのやわらかな口あたりと豊かな風味が評判。天草諸島のなかだけの限定販売ですが、オンザロックでおいしい熟成焼酎として、話題を呼んでいます。
地焼酎には地の肴。極上の器で一献
島自慢の焼酎を心ゆくまで味わうため、一路、おいしい酒肴の待つ場所へ。国道の裏通りにある「串焼き よみや」は、地元の食通たちが足繁く通う店です。父・余宮雅夫さんの串焼きと、唐津の名店で修業を重ねた息子・貴之さんの一品料理。天草の魚介や季節野菜に繊細な手仕事を添えた料理を、さらに素晴らしいものにしてくれるのが、その盛りつけです。実はここ、「朝虹窯」の余宮隆さんのご実家で、盛り鉢や取り皿、酒器、さらには店内の装飾に至るまで、「朝虹窯」の手仕事を存分に味わうことができるのです。刷毛目の湯呑で味わう「天草」のロックは、最高の味わい。全国の日本酒も数多く揃います。日々の料理に合わせて器を選ぶそうなので、どんなしつらいで登場するかはお楽しみです。
天草酒造
電話番号 | (0969)46ー2013 |
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住所 | 天草市新和町小宮地11808 |
営業時間 | 9時30分~17時 |
店休日 | 土・日曜、祝日、お盆と年末年始 ※焼酎の直売や蔵見学は、毎年春の蔵開きイベントでのみ行われます |
ホームページ | http://ikenotsuyu.com |
串焼き よみや
電話番号 | (0969)23ー7778 |
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住所 | 天草市浄南町1ー4 |
営業時間 | 18時~23時 |
店休日 | 日曜(翌月曜が祝日の場合は、日曜営業することもあり) |
朝虹窯
電話番号 | (0969)24ー4946 |
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住所 | 天草市本町下河内874ー8 |
営業時間 | 11時~17時 |
店休日 | 不定 ※個展などで不在のことも多いので、来店時は必ず事前に連絡を |